梅雨時や湿気の多い時期に、久しぶりに取り出したお気に入りの服に白い粉や黒い斑点がついているのを見つけて、ゾッとした経験はありませんか? それは、衣類に生えてしまったカビです。
カビは見た目が不快なだけでなく、放置すると衣類をダメにしてしまったり、私たちの健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。この記事では、なぜ衣類にカビが生えるのか、生えてしまったカビをどうやって取り除くのか、そして二度とカビを生やさないための効果的な予防法まで、徹底的に解説します。
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元某有名掃除会社8年勤務
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1. 衣類にカビが発生する原因と種類

なぜ衣類にカビが生えるのか、不思議に思ったことはありませんか? 梅雨時や湿気の多い季節に、久しぶりに取り出した服にカビが生えているのを見つけて、驚いた経験がある人もいるかもしれません。
カビは、特定の条件が揃うと衣類をあっという間に侵食します。ここでは、カビが繁殖する原因となる3つの条件と、衣類に生えやすい代表的なカビの種類について解説します。
カビが好む「温度」「湿度」「栄養源」の3つの条件
カビは、地球上のあらゆる場所に存在し、特定の条件が揃うと爆発的に繁殖します。衣類にカビが生えるのは、以下の3つの条件が満たされているからです。
- 温度: カビの多くは、20〜30℃の温暖な環境を好みます。これは、私たちが快適だと感じる室温とほぼ同じです。特に、日本の夏の時期はカビにとって最適な繁殖環境となります。
- 湿度: 湿度が70%以上になると、カビは活発に活動し始めます。梅雨時期や、通気性の悪いクローゼットの中は、この条件が揃いやすい場所です。汗や皮脂が付着した洗濯物を放置したり、湿ったままの衣類を収納すると、一気に湿度が上昇します。
- 栄養源: カビは、衣類に付着した汚れを栄養源とします。具体的には、皮脂や汗、食べ物のカス、ホコリなどが挙げられます。これらの汚れは、カビの繁殖を加速させる「ごちそう」となります。
この3つの条件、つまり「温度」「湿度」「栄養源」が揃うと、衣類はカビにとって絶好の住処となってしまうのです。
代表的なカビの種類とその特徴

衣類によく見られるカビは、大きく分けて白カビと黒カビの2種類があります。
- 白カビ: 衣服の表面に白い粉や綿のようなものが付着している場合、それは白カビの可能性が高いです。白カビは初期段階であれば、比較的簡単に落とすことができます。しかし、放置すると繊維の奥深くまで根を張り、黒カビに変化することもあります。
- 黒カビ: 黒い斑点やシミのように見えるのが黒カビです。黒カビは繊維の奥深くに根を張っており、一度付着すると非常に落としにくいのが特徴です。また、黒カビは健康への影響も大きいとされており、注意が必要です。
カビが人体に与える影響や危険性
「カビが生えたくらい、別にいいか」と軽く考えてはいけません。カビは私たちの健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
- アレルギー: カビの胞子は、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギー症状を引き起こす原因となります。特に、小さなお子さんやアレルギー体質の方は注意が必要です。
- カビ毒: 一部のカビは、カビ毒(マイコトキシン)と呼ばれる有害物質を生成します。これを吸い込んだり、口にしてしまうと、食中毒や臓器障害を引き起こす危険性があります。
- 病気の原因: 健康な人でも、大量の胞子を吸い込むと、夏型過敏性肺炎などの呼吸器系の病気を引き起こすことがあります。
カビは単なる「汚れ」ではなく、「健康を害する可能性のある微生物」だと認識し、見つけたら早急に対処することが重要です。

2. 衣類についたカビの落とし方と注意点

お気に入りの服にカビを見つけてしまったら、もう着られないと諦めてしまいますか? いえ、まだ大丈夫です。カビの種類や衣類の素材に合わせた正しい方法で対処すれば、きれいにカビを取り除くことができます。
しかし、間違った方法でカビ取りをすると、かえってカビの胞子をまき散らしてしまったり、大切な衣類を傷めてしまったりする危険性があります。ここでは、カビの進行度合いや素材に応じた効果的なカビの落とし方と、必ず守ってほしい注意点について詳しく解説します。
カビ取りの基本
カビ取りを行う前に、以下のポイントを確認しましょう。
- 換気: 作業中は必ず窓を開けて換気を行い、カビの胞子を吸い込まないようにマスクを着用しましょう。
- 素材の確認: 衣服の洗濯表示を確認し、水洗い可能か、漂白剤が使えるかなどをチェックします。
- 目立たない場所で試す: 漂白剤などを使用する場合は、袖の内側など目立たない場所で色落ちしないか、生地が傷まないかなどを試してから作業に取り掛かりましょう。
軽いカビ(白カビ)の場合:アルコールを使った応急処置

初期の白カビであれば、エタノール(消毒用アルコール)を使った応急処置が効果的です。
- カビを拭き取る: 乾いた布やブラシで、衣類に付着したカビを優しく払い落とします。この時、カビの胞子が舞い上がらないように注意しましょう。
- アルコールをスプレー: 消毒用エタノールをカビが生えた部分に直接スプレーします。
- つけ置き: そのまま30分〜1時間ほど放置します。
- 通常通り洗濯: 普段使用している洗剤で、洗濯機を使って通常通りに洗濯します。この時、他の衣類にカビの胞子が移るのを防ぐため、カビの生えた衣類だけで洗うようにしましょう。
頑固なカビ(黒カビ、シミ)の場合:漂白剤を使ったカビ取り方法
黒カビや、白カビが変色してできたシミは、アルコールだけでは落としきれない場合があります。その際は、漂白剤を使い分けます。
- 酸素系漂白剤: 色柄物の衣類に使用できる漂白剤です。液体のものと粉末のものがありますが、カビ取りには漂白効果の高い粉末タイプがおすすめです。
- つけ置き: 40〜50℃のお湯に、規定量の粉末酸素系漂白剤を溶かし、衣類を1〜2時間つけ置きします。
- すすぎ: つけ置き後、水ですすぎます。
- 通常通り洗濯: 普段の洗濯物と一緒に洗濯機で洗います。
- 塩素系漂白剤: 白い衣類専用の漂白剤です。漂白効果が非常に強力なため、色柄物に使用すると色落ちしてしまいます。
- 部分つけ置き: 黒カビの部分に、塩素系漂白剤を薄めた液を塗布し、10〜20分ほど放置します。
- 水ですすぐ: 塩素系漂白剤は、繊維を傷める可能性があるため、すぐに水で洗い流します。
- 通常通り洗濯: 普段の洗濯物と一緒に洗濯機で洗います。
素材別のカビ取り方法:デリケートな素材や革製品

- ウール・シルクなどのデリケート素材: これらの素材は、アルカリ性の漂白剤で傷んでしまう可能性があります。酸素系漂白剤であっても、長時間つけ置きすると傷むことがあるので注意が必要です。心配な場合は、専門のクリーニング店に相談することをおすすめします。
- 革製品: 革製品に生えたカビは、専用のクリーナーを使用します。柔らかい布でカビを拭き取った後、専用クリーナーで汚れを落とし、最後に風通しの良い場所で陰干しします。
カビ取りの注意点とNG行動
カビを取り除く際に、ついついやってしまいがちなNG行動があります。これらを避けることで、カビの再発や衣類へのダメージ、健康被害を防ぐことができます。
- カビを払い落とさない: 強く叩いたり、ブラシでゴシゴシ擦ったりすると、カビの胞子が空気中に舞い上がり、部屋中に広まってしまいます。
- 天日干しだけでは不十分: 「カビは日光に当てれば死ぬ」と思われがちですが、それは間違いです。紫外線で表面のカビは死滅しても、繊維の奥深くまで根を張った菌糸は生き残ります。
- 漂白剤の使い分けを間違えない: 色柄物に塩素系漂白剤を使うと、色が抜けてしまいます。必ず素材や色を確認して、適切な漂白剤を選びましょう。
- 洗剤と漂白剤を混ぜない: 特に塩素系漂白剤と酸性の洗剤を混ぜると、有毒ガスが発生する危険性があります。絶対に混ぜないでください。
3. 困ったときはプロに相談

どうしても自力ではカビを落としきれない、あるいはデリケートな素材で失敗するのが怖いという場合は、無理をせずプロに任せるのが一番です。
専門のクリーニング店に依頼すれば、素材を傷めることなく、カビを徹底的に除去してくれます。ここでは、プロに依頼するメリットや、依頼する際の注意点について解説します。
クリーニング店に依頼するメリット
- 専門的な知識と技術: クリーニング店は、衣類の素材やカビの種類に応じて最適な方法でカビ取りをしてくれます。
- 衣類へのダメージを最小限に: 家庭では難しい、衣類へのダメージを最小限に抑えた処理が可能です。
- 手間と時間の節約: 面倒なカビ取り作業を任せられるので、時間と労力を節約できます。
カビ取りに対応しているか事前に確認する方法
すべてのクリーニング店がカビ取りに対応しているわけではありません。事前に電話やWebサイトで「カビ取りは可能か」「追加料金はかかるか」などを確認しましょう。特に、黒カビは料金が高くなる傾向があるので、見積もりを取ってもらうのが確実です。
4. 衣類にカビを発生させないための予防法

どんなに丁寧にカビを取り除いても、再発する可能性はゼロではありません。カビが生えてしまう原因を根本から断ち切ることが、大切な衣類をカビから守る一番の近道です。
カビの3つの好条件(温度、湿度、栄養源)をなくすための、日頃からできる簡単な予防法を学び、二度とカビに悩まされないクローゼットを作りましょう。
日頃のケア
- 着用した衣類をすぐにしまわない: 汗や湿気を吸った衣類を、すぐにクローゼットにしまうのはNGです。すぐにしまわずに、ハンガーにかけて風通しの良い場所で数時間干し、湿気を飛ばしてから収納しましょう。
- 洗濯物を詰め込みすぎない: 洗濯機の中に洗濯物を放置すると、湿気と汚れが絡み合い、カビや雑菌の温床になります。洗う直前まで洗濯カゴに入れておき、洗ったらすぐに干しましょう。
- 洗濯物はしっかりと乾燥させてから収納する: 生乾きの状態で収納すると、カビが繁殖する原因になります。乾燥機を使うか、しっかりと天日干しをしてからしまいましょう。
収納場所の管理
- タンスやクローゼットのこまめな換気と整理: タンスやクローゼットは、湿気がこもりやすい場所です。定期的に扉を開けて換気したり、衣類を整理したりして、空気の通り道を作りましょう。
- 除湿剤・防カビ剤の効果的な使い方: 除湿剤や防カビ剤は、カビ予防に非常に効果的です。クローゼットの床やタンスの引き出しなど、湿気が溜まりやすい場所に置くようにしましょう。
- 衣類を詰め込みすぎない: 収納スペースに衣類をぎゅうぎゅうに詰め込むと、空気が循環しなくなり、湿気がこもりやすくなります。通気性を確保するためにも、収納する衣類の量を8割程度に抑えるようにしましょう。
これらの予防策を日々の習慣にすることで、大切な衣類をカビから守り、快適な毎日を送ることができます。
5. まとめ:カビとサヨナラする3つのステップ

ここまでの内容を読んで、衣類のカビ対策についてご理解いただけたかと思います。最後に、大切な衣類をカビから守るためのポイントを、誰もが実践できる3つのステップにまとめました。
この3つのステップを実践すれば、もうカビに悩まされることはありません。今日からできる対策で、カビとは完全にサヨナラしましょう。
- カビの早期発見と正しい対処: 白カビを見つけたら、すぐにアルコールで応急処置。黒カビになってしまったら、素材に合った漂白剤で対処する。
- 無理な場合はプロに相談: 自力でのカビ取りが難しいデリケートな衣類や、頑固なカビは、無理せずクリーニング店に相談する。
- 徹底した予防: 日々のケアと収納場所の管理を徹底し、カビを「生やさない」環境を作る。
衣類のカビは、日々の少しの注意で十分に防ぐことができます。大切な衣類を長く着るためにも、ぜひこの記事で紹介した方法を実践してみてください。もし、この記事を読んでいるあなたが、今まさにカビの生えた衣類を前に途方に暮れているなら、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。